コンフォート・ゾーン コーチングを理解しよう STEP4


コーチングを理解しよう STEP4 コンフォート・ゾーン

【コーチングとヒーリングの融合】杉本ワークスの杉本浩章です。


「コンフォート・ゾーン」という言葉がコーチングにはあります。

「自分にとって居心地のよい空間、領域」のことを表わしています。慣れ親しんだ場所というとイメージが湧きやすいかもしれません。

いつも行き慣れている場所はとても居心地がよく、リラックスができるのですが、慣れない場所に行くと途端に緊張したり、不安になったり、居心地が悪くソワソワしたりということです。

人間は無意識に、慣れ親しんだものを求めます。自分の身の回りにおいて、この「コンフォート・ゾーン」を維持し続けようとする働きが生得的に備わっているのです。コンフォート・ゾーンの内側に安住したいという無意識の働きです。危険から身を守り、自らの命をより安全に生き長らえさせるための、人類の進化の過程で発達してきた能力と考えられています。

自分の行動や習慣を思い出してみると、いつも行き慣れた同じような場所ばかりを選んでいることに気が付くと思います。


このコンフォート・ゾーンは、物理的な場所、空間のことだけを指しているのではありません。情報的なものに対しても働きます。

学校でのテストを思い出してみてください。いつも大体同じくらいの点数を取っていたのではないでしょうか。いつも英語で60点くらいを取っている人は、英語では60点がコンフォート・ゾーンなのです。

運がよかったり、たまたま得意なところがテストに出て、いつもより高い90点を取ってしまったとします。すると無意識では非常に居心地を悪く感じます。こんなのはいつもの自分じゃない、自分らしくない。そう無意識では強く不快感を感じます。

コンフォート・ゾーンの維持能力は強力です。平均60点が本来の自分なのですから、90点を取ってしまったら、その次のテストでは30点くらいを取って、平均60点を維持しようとします。

これがコンフォート・ゾーンの働きです。人にはそれぞれ固有のコンフォート・ゾーンが、脳内に記憶として保存されています。


ここでは学校のテストを例に挙げましたが、皆さんの周りのありとあらゆるものが、コンフォート・ゾーンの内側に収まっています。

能力、生活水準や年収、地位やポジション、人間関係、健康状態などすべてです。

年収が600万円くらいの人は平均的にそれをずっと維持し続けますし、病の人は病であることが無意識では居心地がよいのです。恋人ができないと悩んでいる人は、無意識ではひとりが快適ということです。それがその人にとってのコンフォート・ゾーンなのです。


コンフォート・ゾーンという言葉はコーチング用語ですが、別の言い方をすると「ホメオスタシス・レベル」ともいいます。ホメオスタシス(恒常性維持機能)が強力な現状維持をすることは前のステップでお話しましたが、ホメオスタシスが維持する中身は、まさにこのコンフォート・ゾーンのことです。



コーチングとは、「コンフォート・ゾーンを変える技術」と表現することができます。

そんなに強力に維持してくれるコンフォート・ゾーンなのですから、その中身さえ変えてしまえば、結果は後から勝手についてくる、周りが自動的に変わってくれる、という具合です。


コーチングにおいて大変重要なマインドの仕組みをご紹介します。

「マインドは、コンフォート・ゾーンを維持するためだけにしかエネルギーを生み出さない」


やる気やモチベーションに悩む方をよく見かけます。

このやる気やモチベーションというのは、コンフォート・ゾーンを維持するためのマインドの放つエネルギーのことです。やる気が出ないとは、怠けているとか、そういう性格だとか、そういった類の話ではありません。単に今の自分が、コンフォート・ゾーンの内側にいるから、マインドはエネルギーを放つ必要がない、ただそれだけのことです。

世間一般の解釈では、モチベーションという原因があって、成果という結果があるように思われています。コーチングの観点では、そうではありません。「コンフォート・ゾーンの内側に自分を維持しようとする働きが私たちのマインドにはある」という原因があって、「モチベーションや成果」という結果が生じます。因果が逆であることに注目して下さい。



STEP2のゴール設定では、マインドの放つエネルギーを輪ゴムに例えて、ゴールと現状とのギャップが大きければ大きいほどよいという説明をしました。

コーチングは、「ゴール設定」と「ゴール達成」の二つに集約されます。

まず、ゴールをルールに基づいて設定します。そして、そのゴールを達成するために、ゴールの世界をマインドの中でのコンフォート・ゾーンとします。そうすると、無意識はゴールの世界が居心地がよいとするマインドの働きと、現状はそうではないというギャップに矛盾が生じ、慌ててマインドは大きなエネルギーを生み出します。ギャップを埋めようとするのです。

ゴールは遠ければ遠いほどよいとは、このギャップによって生み出されるエネルギーのことを言っています。


「認知的不協和」という現象があります。

アメリカの心理学者、「レオン・フェスティンガー」によって提唱されましたが、心の中の映像やイメージ(セルフイメージ)と知覚した情報とで矛盾があった場合、不快感が生じることを表す用語です。人は認知的不協和があった場合、それを解消しようと自身の行動や態度を変えると考えられています。

この現象は、コーチングを理解するうえで、非常に重要なものです。



STEP3のスコトーマとRASでは、スコトーマの原理についてご説明しましたが、コンフォート・ゾーンとスコトーマの関係も重要です。

スコトーマとは心理的盲点のことで、自分にとって重要なもの以外はスコトーマに隠れて見えないのですが、これをコンフォート・ゾーンという言葉を使って表すと、「人間は、コンフォート・ゾーンの外側のことはスコトーマとなって見えない」ということです。

コンフォート・ゾーンは自分にとって居心地のよい領域のことですが、それはつまり、「自分にとって重要なものの集まり」と言えます。

ですから、コンフォート・ゾーンの内側のことはRASというフィルターを通り抜け、よく見えますが、外側のことは重要ではないので、RASによって遮断されスコトーマとなり、見えません。



このSTEP4では、コンフォート・ゾーンの働くメカニズムについて書きましたが、次のステップからはいよいよ、このコンフォート・ゾーンの中身を変えていく作業に入っていきます。

コンフォート・ゾーン、無意識が居心地がよいと感じるもの、それは無意識が自分にとっての真実だと思い込んでいることです。そしてそれは、「セルフイメージ」によって決められています。

STEP2のゴール設定で少し触れましたが、セルフイメージとは、脳に記憶された「自分とはこういう人間なのだという自分自身に対するイメージ、自分像」のことです。人はこのセルフイメージ通りの人間になろうとします。

セルフイメージが、コンフォート・ゾーンという領域を決定します。ですから、コンフォート・ゾーンを変えるためには、セルフイメージを変えさえすればいいのです。

そういったことに必要なことを、今後のステップで学んでいきます。


コンフォート・ゾーンの世界と、私たちが望んでいるものや意識的に願っている世界とが異なった場合、人は幸福にはなれないでしょう。望んでいる世界は実現しないからです。しかし、意識の世界の理想(ゴールの世界)と、無意識の世界の理想(コンフォート・ゾーンの世界)とが一致したとき、その人の周りは、その人にとっての理想的な世界となります。それはとても幸福な世界であるはずです。

コーチングは、それを実現するためのものです。



We behave and act, not in accordance with the truth, but with the truth as we believe it to be.
Lou Tice

人間は、本当の真実ではなく、自分が真実だと思い込んでいることに基づいて行動している。
ルー・タイス



コーチングを理解しよう STEP5 エフィカシー



コーチングを理解する10のステップ