成功するためには、運動するしかない?!




【コーチングとヒーリングの融合】杉本ワークスの杉本浩章です。


人生において成功するために、神は人にふたつの手段を与えた。教育と運動である。しかし前者によって魂を鍛え、後者によって体を鍛えよ、ということではない。その両方で、魂と体の両方を鍛えよ、というのが神の教えだ。このふたつの手段によって、人は完璧な存在となる。

プラトン(紀元前427~347年)



古代ギリシャの哲学者、ソクラテスの弟子にして、アリストテレスの師に当たる、プラトンのこの言葉には、非常に考えさせられます。

彼は、成功には、「教育」と「運動」の「両方」が必要であると説いています。


普通の人は、普通、こう考えると思います。

頭を鍛えたければ、勉強をする。

体を鍛えたければ、運動をする。

それぞれを別個に、二元論に捉えるわけです。


しかし、プラトンはそうではないと、先の短文の中に表現しています。短くて、且つ、明快で秀逸な文章ですよね。非常に本質をついていると思います。

驚かされるのは、2400年近くも前に、現代でも全くもって通用するその知恵を語っていたこと。その洞察眼には敬意を表さざるを得ません。


頭を鍛えるには教育と運動の両方が必要だし、体を鍛えるのにも教育と運動の両方が必要であるというのです。



頭を鍛えるには、教育と運動の両方が必要である。


これは現代の神経科学の結論からも言えることです。

脳神経やシナプスの結合がより発達・発展的になっていくためには、「運動がどうしても必要」だというのが、神経科学からも明らかにされています。

ざっくりと古典中医学的に考えてしまえば、血流がよくなり、気と酸素と栄養とが脳に潤沢に送られ、老廃物が流されるからと言えるでしょうが、分子生物学や神経科学のおかげで、随分と脳内等における物質成分や化学反応が見えてきて、運動をすることで、脳神経が活発に回路を形成していく物質が分泌されることが、発見されています。


つまり、「頭を鍛えるには、運動するしかない」ということです。


ジョン J. レイティ 著 「脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方」

ジョン J. レイティ 著 「脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方」



一方で、体を鍛えるのにも教育と運動の両方が必要であると、プラトンは指摘しています。

冷静に考えてみると、なるほどと納得をしてしまいますが、それをどれくらいの人が実際に意識をして、行動に移しているでしょうか。


単に運動をせよと言われても、困ってしまいますよね。

筋トレひとつにしたって、目標やロジックも何もなく、ダンベルを上下させたり、スクワットをするだけでは、まったく効果はないとまでは言いませんが、体を壊したり、無駄な努力と時間を費やしてしまうかもしれません。

そこにきちんと学びや教育がある。目標やロジック等があれば、まったく違う効果なり成果なり、達成速度なりが期待できるはずです。



私自身、今の時点でパーソナルトレーナーに実際にお願いをして、筋力トレーニングを定期的にやっています。

やってみて思ったのは、筋トレは、トレーナーがいないと無理に近いということです。

筋トレで成果が上がるためには、過負荷や回数、フォームなどにきちんと気を払わなければなりません。

もし、それがトレーニングも含めて、全部自分ひとりでできているとしたら、それはかなり精神的に余裕のある証拠ですが、それだけ余裕があるとなると、過負荷になっていない可能性が大いにある。


筋トレは、筋肉に負荷をかけるのではなく、「過負荷」をかけるのです。負荷と過負荷の違いは、端的に言えば、長時間やることはできないし、回数は限られるし、All out するし、精神的に余裕があるはずがない。その状態でフォーム等に気を払うのは相当な難易度です。

ですから、フォームに気を払いながら筋トレが全部一人でできているとしたら、それは過負荷になっていない可能性が相当にあるのです。


それ以外にも、トレーナーの存在は大きい。励ましてくれたり、トレーナーの存在そのものがモチベーションのひとつになり得る。

自分一人で筋トレを行えば、マンネリ化したり、ついサボってしまったり、或いは、はしゃぎ過ぎやり過ぎで体を壊してしまう人もいます。適切なバランスのとれたトレーニングには、トレーナーという他人の介在がどうしても必要になってきます。


筋トレをたまたま例に挙げましたが、教育や学びもなく、単にトレーニングをするというのは無理があると思いますし、体を鍛えたり、運動全般に関しても、やはり教育が必要です。

サッカーやゲームにしたって、それぞれが多くの学びや経験を活かし、競うからこそ、その本当の面白さや醍醐味に気づけるはずですし、それがなくて、ルールを無視して単に球転がしをしているだけでは、決して壮大な満足感は得られないでしょう。すぐに飽きてしまいます。


体を鍛えるのにも、教育と運動の両方が必要です。



あまり知られていませんが、プラトンの本名は、「アリストクレス」といいます。

彼はレスリングをやっていて、その恵まれた肉体は、肩幅は広く、彼のレスリングの師によって「プラトン」と名づけられました。「プラトン」とはギリシャ語で、「幅が広い」、「肩幅が広い」という意味だそうです。

つまり、プラトンという名は、あだ名なのです。


そんな、身体をよく使うことの大切さをよく知ったプラトンだからこそ、魂と肉体の両方を鍛えることの重要さに気づけたのかもしれません。



しかし、何事も例外はつきものです。

一般論として、プラトンの言うことは間違いのないものと言えます。

それは科学のあらゆる場面において導き出されている事実ですし、私達人類の歴史の中での経験や知恵の数々が証明していることです。

では、絶対かというと、そうではありません。


先日亡くなられたスティーヴン・ウィリアム・ホーキング博士(1942~2018.3.14)。イギリスの天才理論物理学者で、ブラックホールなどに関して数々の業績を残しています。

ホーキング博士は、「ALS: 筋萎縮性側索硬化症」を学生の頃に発症し、車いす生活を続けていました。脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える運動神経が侵される病気で、不思議なことに、ALSでは運動神経は侵されますが、知覚神経や自律神経は侵されないので、五感や記憶、知性を司る部分には障害は出ません。運動に関する神経、意識的に体を動かそうとする部分(随意筋)にのみ、不都合が生じます。


当然のことながら、満足に運動をすることなどできるはずもありません。

しかし、ホーキング博士の功績やIQ、その能力たるや半端なものではありません。

運動もできず、血液循環も限られているであろうホーキング博士が、どうしてこれだけの業績を残せたのか、それは何故かとしか言いようがありませんし、例外中の例外でしょう。

情報空間上での運動である「思考」はたくさんしていたでしょうし、ドーパミン(意欲・渇望ホルモン)はたっぷりと分泌されていたと思います。

それが秘訣だったのかもしれませんが、しかし、物理的な運動は皆無です。


何事も、例外はつきものということです。

しかし、一般論としてはプラトンの言うとおり、脳と身体を鍛えるには、学習と運動の両方が必要といえます。

2018年05月07日